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『テクニカルノート』

テクニカルノート Vol.15 2021年3月

シール部のかみこみはなぜ起きる?

コンビニやスーパーに行けば、さまざまな包装形態の商品が陳列されているのが目に入ります。菓子パンや個包装菓子などの「横ピロー包装」、スナック菓子やチョコレートのアソート品などの「縦ピロー包装」、ハンバーグやポテトサラダの「スタンディングパウチ包装」、スライスハムの「深絞り包装」などがあります。内容物の特性や光、湿度といった外的要因に応じて異なった包装形態が採用されています。

これらの商品では、内容物がはみ出す、または内容物の一部が付着した状態で袋の口が圧着(シール)されることがあります。このような不良を一般的に「かみこみ」と呼びます。

X線検査機/さまざまな包装形態

今回は、かみこみが起きる要因分析と、包装形態ごとの代表的なかみこみ事例を解説します。併せて、かみこみを起こした商品が市場へ流出するのを防ぐために、Ⅹ線を使ったかみこみ検査をご紹介します。

なぜ「かみこみ」が問題視されるのか?

「かみこみ」は、内容物の密封性や防湿性などの低下を招き、内容物の変敗(変質)、腐敗を誘発し、人的な危害を及ぼす可能性があります。現実の健康被害は起きなくても、かみこみを起こした商品を見た消費者は中身の品質にも疑いを持つかもしれません。

かみこみ

なぜ「かみこみ」が発生するのか(要因分析)?

処理速度

近年は工場の統廃合により、製造一ラインあたりの処理量が増加する傾向にあります。また、新規販売先開拓や新商品ヒットなどの理由で、増産に踏み切ることもあります。増産は売上拡大につながる反面、現行の生産設備が要求能力に見合っているか心配です。

現行の生産設備を最新型に更新できれば安心ですが、予算などの理由から既存設備をフル稼働して対応することが一般的ではないでしょうか。

その場合、設備の余力不足から、かみこみを含めた包装不良品の多発が懸念されます。

特に横ピロー包装の商品、個包装のチョコレート、クッキー、飴などは数百個/分で生産されます。回転数(処理速度)が上がったことで位置のズレや姿勢の乱れが生じ、包材内の定位置にきちんと収まらずに圧着(シール)されたり、搬送中に破損し、その粉や破片がシール部に付着して、かみこみになります。

クッキー/粉や破片がシール部に付着

包材の原価低減

製造メーカは、内容物に対して包材の量を必要最小限にして包材原価を抑えています。つまり、包材寸法(内寸)を詰めて包装しているため、かみこみのリスクは常にあります。仮にかみこみを回避するために包材サイズを大きくすると、納品用のカートン(個包装品を複数梱包)もワンランク大きいものに切り替える必要があります。その結果、個包装品の包材原価だけでなく、輸送コストの増加や収益の悪化につながってしまいます。

包装のコスト増加

商品の見た目重視

皆さんもご経験があると思いますが、スーパーの陳列棚に、味も価格もほぼ同等な2 種類の商品がある場合、包装と中身との隙間がなく、たくさん入っているように見える商品を購入したくなりませんか?

この見た目を重視して、あえて包材サイズを必要最小限にする傾向があります。「包材の原価低減」で述べましたが、必要最小限の包材寸法(内寸)で設計されていると、何らかの理由で包装するタイミングがずれたときに、かみこみが発生しやすくなります。

包装形態ごとの代表的なかみこみ事例

トレー包装・深絞り包装

トップシールのトレー包装や深絞り包装の商品での事例を解説します。

一般に、容器に対して内容物が満杯に近いほうが見た目に「盛り感」があり、消費者の購買意欲が刺激されます。しかし、内容量が多ければ嵩も増すので、容器のシール面にはみ出しやすくなります。

惣菜ラインでは、こぼれないように自動計量機の排出ホッパーを容器上端より下げて内容物を投入しますが、トレーに対して内容物の量が多いとシール部に付着しやすくなります。作業員による目視検査、シール面の拭き取りを行っても、万全ではありません。

スライスされたハムは整列されてコンベア搬送され、深絞り包装機に自動投入されます。圧着する前に、目視検査する作業員が、脂身の多いハムなどの不良品を見つけたら良品と差し替えます。200個/分前後の高速処理のため、差し替えたハムの位置がずれてしまい、トップシールしたときにかみこんでしまうことがあります。

トレー包材のOK品/MG品、深絞り包装のOK品/MG品 作業者による目視検査

縦ピロー包装

スナック菓子では縦ピロー包装が一般的です。自動電子計量機の真下に設置されている縦ピロー包装機が加工した袋に内容物を上から投入、最後に上端部を圧着(シール)します。

商品は割れ欠けしやすい性質のため、計量機が排出ホッパーを閉じた後も破片や粉が落下します。これらが袋の上端内側に付着して圧着すると、かみこみになります。また、包材であるロールフィルムは静電気を帯びやすい物性なので、季節や生産施設の環境により完全に静電気を排除することは困難です。その静電気により破片や粉がシール部に付着すると、かみこみとなる場合もあります。

また、米菓やチョコなどの個包装品を詰め合わせるマルチパックは、最後の方に投入された個包装品がシール部よりも上にはみ出した状態になりやすく、包材の一部を挟んで圧着してかみこみとなる場合があります。縦ピロー包装は三方(両サイドと底面)が閉じられている状態で内容物を投入するので、姿勢の乱れや衝突が起きやすいことに起因します。

粉や破片がシール部に付着、個包装品が大袋のシール部にかみこみ

給袋式包装

ハンバーグの包装には給袋式包装機が使用されています。給袋式包装機とは、投入口以外の三方(両端と底面)が閉じられている袋の上端部の口を広げて充填機排出部に供給し、充填が終わったら圧着(シール)する装置です。ベルト搬送されたハンバーグはステンレス製のシュートで袋の中に自重落下します。

その際、上端部内側にハンバーグが接触することがあります。また搬送ベルトに付着した脂身や肉片が不意に落下し、それがシールされてかみこみになるケースもあります。

給袋式包装のかみこみ

X線透過検査でかみこみを発見

かみこみを見つける手法は、作業員による目視検査、カメラによる外観検査、圧力センサによるシール部の厚み検査などさまざまですが、当社はX線を利用した内部透過検査を提案しています。

X線の透過画像を使用するメリットは、表面に印刷された包材やアルミ包材に対しても高感度に安定してかみこみを検知できる点です。

かみこみの検知の原理は基本的に異物検査と同じです。ベルトコンベア上を搬送する被検査品にX線を照射し、透過された線量をX線センサで検知し、その透過画像のX線透過率(濃淡度の差)を画像解析して排除します。包材シール部に「シール領域」を設定し、シール部に内容物や包材の一部、シワがあった場合、これらがX線を吸収するため、その箇所のX 線センサに到達する線量が設定値よりも少なくなります。その差異でかみこみを検知します。

弊社のX線検査機は、包装形態に合わせて適切なシール領域を設定し、かみこみを高感度に検知します。

X線タンクとセンサ構造/かみこみ検査の原理 シール領域設定画面/シール領域内のかみこみを検知

弊社のX線検査機の実例

弊社のX線検査機の実例

まとめ

今回は、包装形態ごとに代表的なかみ込み事例を解説しました。いずれも特殊なケースではなく、生産ラインでいつ起きてもおかしくありません。生産ラインにおけるかみこみ対策が不十分だと思っている、もしくはこれからかみこみ対策をされていきたい方は、X線検査を検討してみてはいかがでしょうか。

最近のⅩ線検査機は、異物検査、欠品検査と同時にかみこみも行えるものが一般的になっています。


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