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アンリツインフィビス『テクニカルノート』
テクニカルノート Vol.10 2015年10月

X線検査機の相対質量とは

X線検査機による相対質量検査という言葉をみなさんは聞いたことがありますか。なぜX線で重さが量れるか不思議に思う方が多いかもしれません。X線の相対質量は正確な質量がわかっている基準ワークの透過画像と検査対象ワークの透過画像の濃度差を質量に換算した値です。原理、どのような用途で使われているのかと注意点を解説します。

X線検査機の相対質量とは

【1】相対質量検査の原理

X線検査機は商品を透過したX線をセンサーで感知して、透過量を影の濃淡で現わした透過画像を生成します。

たとえば、厚みが50㎜ある商品にX線を照射したとき透過画像の影の濃さを1とします。次に厚みが45㎜の商品にX線を照射してみたとしましょう。2つの商品の密度が同じなら影の濃さは45 ÷ 50 = 0.9、つまり10%薄くなります。

すなわち、影の濃さが10%薄ければ厚みも10% 薄いと判断することができます。原理的には「相対厚み」と表現してもいいのですが、食品の場合は通常、質量を基準として表現されることが一般的なこともあり、「相対質量」と呼んでいます。

図1-1 : 相対質量の仕組み
図1-1 : 相対質量の仕組み


【2】相対質量検査の応用例

① 冷凍ホタテのランク選別

ホタテの冷凍むき身を重さに応じて高速に選別するラインでは、オートチェッカ(ウェイトチェッカ)で質量を量って選別しています。バケットからどさっと投入された商品の切り離しを行い、秤量コンベアで一個ずつ測定していましたが、商品が転がりやすく、二個乗りエラー(測定する秤量台に二個乗ってしまい、重量が量れない状態)が起きることがありました。

最新のX線検査機なら、複数のワークの透過画像を同時に処理して一つ一つの相対質量を計算して選別することができるので、オートチェッカより歩留りが良くなりました。

図2-1 : ウェイトチェッカで検査
図2-1 : ウェイトチェッカで検査

図2-2:相対質量を使用したX線検査の画面例
図2-2:相対質量を使用したX線検査の画面例

② 特定の内容物の過不足チェック

疑似的に作ったお弁当で説明します。同じ4種類のおかずが入ったお弁当が二つあります。左側が基準となるお弁当です。電子はかりで質量を測定すると、二つのお弁当とも全体の質量は同じです。

では、X線の透過画像を見てみましょう。パーティションで区切られた各エリアごとに相対質量が測定できるようになっています。Bのエリアの具材だけは基準ワークと同じ量ですが、AとCのエリアの具材は入れすぎ、Dのエリアの具材は不足していることがわかります。おかずとご飯のバランスがくずれてお客様をがっかりさせることがなくなりますね。

図2-3 : 内容物の過不足チェック
図2-3 : 内容物の過不足チェック


【3】ウェイトチェッカ(オートチェッカ)はもう必要ない?

X線検査機は異物を見つけるだけでなく、透過画像から重さの違いを見つけこともできるということは、もうオートチェッカの出番はなくなるのでしょうか。同じ200gの内容量のバターとマーガリンを用意して、電子はかりとX線検査機で測定結果を比較してみました。

まず、最初に電子はかりでそれぞれの質量を測定してみました。内容物の重さにパッケージの重さが加わり、バターは215.0 g、マーガリンは216.2 gとなりました。

では、X線検査機で相対質量を測定してみましょう。バターの透過画像を基準にして、それぞれの相対質量を測定してみます。

設定に使ったバターをⅩ線検査機にもう一回通したときは、同じ透過画像が出てくるので実際の質量とほぼ同じ215.2gの相対質量値が出るのは納得できます。一方、マーガリンは211.6gと秤で量ったときより4.6gも軽い相対質量値が表示されました。透過画像を見比べてみるとバターより影の濃さが全体に薄くなっています。

バターとマーガリンの組成の違いがX線透過画像の濃さの違いにつながったのでしょう。異なる商品を基準に相対質量を測定すると実重量とはかなり異なる結果が出る可能性があることわかりました。同じ商品同士でも、製造ロットが変われば粒子の大きさや容器に入れるときの均しかたがばらつくことがあります。濃淡のグラデーションが測定誤差に直結するので、正確性が要求される質量チェックにⅩ線検査の相対質量を使うことは避けたほうがいいでしょう。

図3-1:相対質量と実重量のずれ
図3-1:相対質量と実重量のずれ



【4】結論

果物や野菜、海産物など、箱に詰めるときの大きさを揃えることで商品の付加価値が上がることはよく知られています。今後、X線の相対質量検査が活躍する場が広がる可能性がありますが、相対質量のばらつきが実重量のばらつきとかけ離れていないか、電子はかりを使って両者を比較しながら実用性を確かめていく必要があります。


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