食品工場の経営層、管理職のみなさまへ
OEEを使って生産設備の効率を「見える化」する
はじめに
今回は、一歩進んだ「見える化」のお話しをします。みなさまは普段から、「生産設備の稼働率」、「時間あたりの生産数」、「最終検査の合格率」などの指標をグラフ化し、それを別の生産ラインや、同じラインの前月結果と比較されていると思います。グラフを見比べて、気がつくことは何でしょうか? おそらく「設備の稼働時間に比例して生産数が伸びていないな」、「この商品の歩留まりは先月と比べて下がっているみたいだ」などでしょう。生産数だけ注目する、歩留まりだけ注目する、という風に一つの指標に注目すれば、比較的簡単に「見える化」ができますが、前月比で生産数が上がっているグラフと、前月比で歩留まりが下がっているグラフが同時に出てきたらどうでしょうか。素直に喜べませんね。このように指標ごとにグラフがいくつも出てくると、生産設備が有効活用できているのかどうかの総合評価が難しくなることがあります。
生産設備の有効活用状況が総合評価できたら便利だと思いませんか?まず、その準備として「可動率」、「性能」、「品質」の指標について計画値を調べてみましょう。
何を測定するのか |
何の指標か |
計画値(例) |
生産設備の計画稼働時間 |
可動率 |
180分 |
生産設備の最大生産能力 |
性能 |
100個/分 |
生産計画数(合格品に限る) |
品質 |
9500個 |
*:生産設備の計画稼働時間は注文数量の増減による調整がないものとします。本紙では、稼働率ではなく機械の能力に注目した可動率(べきどうりつ)を使用します。
二つの設備でそれぞれ実績値が測定できたとしましょう。下がその結果です。さて、どちらの設備の方が、効率のいい生産をしたといえるでしょうか?
|
実際の稼働時間 |
生産数/分 |
合格数 |
設備A |
160分 |
85個 |
9300個 |
設備B |
165分 |
80個 |
9300個 |
1. OEE(Overall Equipment Effectiveness:総合設備効率)を使って評価
設備Aと設備Bは同じ合格数でも実際の稼働時間(分)と生産数/分にわずかの差があります。実際の稼働時間はBの方が長く、生産数/分はAの方が多いです。どちらの設備が効率的に生産をしているかは甲乙つけがたいですね。しかし、わずかな差でも劣る方の設備の課題を早急に見つけて解決に向けて努力すべきでしょう。簡単な計算で生産設備の効率を計算することができます。それがOEE(Overall Equipment Effectiveness:総合設備効率)です。
OEEの求め方
ライン上にある検査機を測定ポイントにして説明します。計画値を分母に、検査機がカウントした実績値を分子にして、三つの指標をかけ合わせます。
*:生産数(計画値)は検査機を通過した数を採用します。
上記の式に当てはめてみます。
結果は、設備Aの方が生産効率の高い設備と言えます。
OEEの要素となる指標と計算式をおさらいしましょう。


2. 検査機のOEEから、上流設備で起きていることを推測
下図のように、一般の生産ラインは複数の設備が直列的に並んでおり、ある装置で連続NGが出ると、後段に流れる製品数は必然的に減ることになります。たとえば、充填機の不調や段取り替えで包装機がチョコ停を起こせば、後段の検査機にはその間モノが流れてきません。そう考えると、ライン全体の効率はライン終端にある設備、たとえば重量選別機(ウェイトチェッカ)のOEEを見るのが有効です。
下は、重量選別機の各指標(可動率、性能、品質)とOEEから上流で何が起きているかを推測した例です。
3. QUICCAを使えば各設備のOEEが「見える化」できます。
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QUICCAは最大99台までの設備(生産機械、検査機)の測定値や判定結果をリアルタイムに収集して、リモートで集計作業や分析業務を行うことができます。QUICCAは複数の機器の運転状態や検査記録がリアルタイムに見られるだけでなく、OEEの計算結果やグラフもいつでも見られます。日報や月報にOEEグラフを載せることも簡単です。
OEEの表示例
最後に
OEE(総合設備効率)は3つの指標の計画(分母)と実績(分子)の比率を掛け併せています。大量生産ラインのOEEと、比率の変動が大きく出やすい少量生産ラインのOEEを単純に比較することはできませんが、ある製造ラインの過去と現在の生産効率がどう変わったか、また、同じ商品を作っているライン同士の効率の比較をするのには合理性があります。OEEは生産技術が専門でない人にも直観的に把握できるので、職場全体の改善行動を起こしやすくなります。また改善活動の限界もOEEの傾向から見えるので、すぐに設備更新すべきかどうかの合理的判断ができます。ぜひQUICCAと一緒にOEEを積極的に活用していきましょう。
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