データセンター間接続(DCI)の構築・保守を効率化
クラウドサービスやSNS、動画配信の普及で、都市部に分散するデータセンター(メトロDC)を相互接続して運用する企業が増えています。成長を続けるメトロDCやデータセンター間接続(DCI)ですが、収容する通信規格が多様化するなどネットワーク構築・保守作業が複雑化、高度化する一方で、セキュリティ管理下での効率的な作業が求められています。
アンリツのネットワークマスタプロ MT1040A/MT1000Aは以下の特長があり、急増するメトロDCやDCIの構築・保守作業を1台でサポート、効率よくスムーズに行えます。
- 10Mから400Gまでの通信インタフェースを1台に集約(MT1040A)
- 10Mから100Gまでの通信インタフェースを1台に集約(MT1000A)
- データセンター構築・保守現場での自動試験による作業効率化
- ネットワークの回線品質から光ファイバの評価まで1台で対応
また、アクセスマスタ MT9085シリーズおよびファイバメンテナンステスタ MT9090Aは、DCI光ファイバの評価に適したOTDRです。
データセンターの構築、保守の課題
従来のデータセンター(DC)は、電力消費やコストメリットのあるコロケーションスペース、災害対策などの観点から郊外に大規模なDCが建設されてきました。しかし、近年では、都市部のビルなどにある小規模なDC(メトロDC)を、メッシュ状にネットワーク接続し、1つの仮想的DCとして運用する形態が増えています。このようなメトロDCは、広大なスペースを確保することなく、都市部でも比較的安価に構築できます。

データセンター構築・運用形態の変化
メトロDCでは、各DC間をネットワークで相互接続(データセンターインターコネクト:DCI)しますが、1つの仮想DCとして、最大のパフォーマンスを発揮するためには、DC間を大容量の回線で接続する必要があります。
このようなメトロDCIの構築、保守作業には、以下の課題があります。
① さまざまな通信規格、インタフェースの回線評価が必要
メトロDCIでは用途やコストメリットの違いからファイバチャネル(FC)や100GbE、400GbEなど異なる規格をWDMに収容しています。
メトロDCIの構築・保守では、多くのインタフェースおよび通信規格の試験が必要となります。規格ごとにテスタを用意した場合、作業費用の増加や、作業効率が悪くなるなどの影響がでてきます。さまざまな通信規格に1台で柔軟に対応できる、ネットワークテスタを準備する必要があります。
② 厳しいセキュリティ管理下での、効率的な構築・保守
DCの現場は厳しいセキュリティ管理下にあり、限られた工期で確実な構築・保守作業を行う必要があります。メトロDCIではさまざまな通信規格の試験を行う必要があるため、通信に関する知識やネットワーク構築・保守ノウハウに習熟した、熟練作業員が必要となります。
③ 光ファイバメンテナンスの重要性
メトロDCIでは高速大容量の光ファイバ回線を使って、ネットワークを構築、運用します。高速化するDCIの光ファイバでは従来から実施している光損失評価に加えて、光反射を評価する必要が出てきています。IEEE802.3によれば、100GBASE-LR4や10GBASE-LRの規格においては光ファイバを接続するコネクタの光反射は26dB以下と規定されています。一般的に、コネクタの光反射は、SPC研磨で40dB程度、UPC研磨で50dB程度ですが、コネクタ端面の汚れは、光反射の増加や端面損傷による光損失の増加の要因となり、通信に影響を与えます。通信トラブルを未然に防ぐためにも、光ファイバの開通・保守を適切に実施することが重要になってきています。

メトロDCIの接続イメージ

汚れた光ファイバの端面
アンリツが提供する、メトロデータセンターネットワークの構築・保守ソリューション
上記の課題に対応し、アンリツはデータセンターの構築・保守ソリューションとして、ネットワークマスタ プロ MT1040A/MT1000Aと、アクセスマスタ MT9085シリーズ、ファイバメンテナンステスタ MT9090Aをラインアップしています。
データセンタ 構築・保守
フィールドソリューション |
測定機能 |
特長 |
サイズ |

ネットワークマスタ プロ
MT1040A |
- ネットワーク評価
400G、100G
- 光ファイバ評価
OTDR、光パワーメータ
|
DCI 光ファイバの敷設チェックから400Gネットワークの回線チェックまで1台で対応。 |
262(W)×167(H)×134(D) mm |

ネットワークマスタ プロ
MT1000A |
- ネットワーク評価
10M、25G、100G
- 光ファイバ評価
OTDR、光パワーメータ
|
DCI 光ファイバの敷設チェックから100Gネットワークの回線チェックまで1台で対応。 |
257(W)x164(H)x82(D)mm |

アクセスマスタ
MT9085シリーズ |
|
DCIの光ファイバ評価。
広ダイナミックレンジで長距離対応。 |
270(W)x165(H)x61(D)mm |

ファイバメンテナンステスタ
MT9090A |
|
DCIの光ファイバ評価。
小型、軽量。Fiber Visualizerで簡単操作。 |
190(W)x96(H)x48(D)mm |
① 10Mから400Gまでの通信インタフェースを1台に集約(MT1040A/MT1000A)
MT1000Aは10/100/1000M、10G、25G、40G、100Gの各イーサネット、OTN、SDH/SONET、ファイバチャネルなどDCおよびDCIで使用されている通信インタフェースを1台で対応できます。MT1040Aは上記に加え400Gイーサネットも併せて対応できます。作業費用の削減が可能で、構築・保守作業を効率的に行えます。

メトロDCIのイメージ
インタフェース |
Ethernet |
OTN |
SDH/SONET |
Fibre Channel |
CPRI/OBSAI |
QSFP-DD/OSFP* |
400GbE |
- |
- |
- |
- |
CFP4 |
100GbE |
OTU4 |
- |
- |
- |
QSFP28 |
100GbE |
OTU4 |
- |
- |
- |
QSFP+ |
40GbE |
OTU3 |
- |
- |
- |
SFP28/SFP+/SFP |
25GbE/10GbE/GbE/100M |
OTU2x/OTU1x |
STM1-64
OC3-192 |
1G-16G
FC |
CPRI 1/2/3/4/5/6/7/8
OBSAI 1x/2x/4x/8x |
RJ45 |
10/100/1000M |
- |
- |
- |
- |
*:どちらか一方のインタフェースを選択できます。
② データセンター構築・保守現場での自動試験による効率化(MT1040A/MT1000A)
ネットワークテスタがさまざまな規格に対応していても、使いこなせなければ意味がありません。MT1040A/MT1000Aは自動試験機能が搭載されており、試験結果は合格・不合格で明確に判断でき、均一な試験品質を提供できます。自動試験(シナリオ自動試験)は、あらかじめ設定した試験手順を対話形式のガイダンスに沿って行います。 また、それぞれの現場状況に応じた試験手順をプログラムできる、自由度の高い自動試験機能です。
さらに、光モジュールの実装チェック、リンクチェックやARP解決チェックなど、試験開始前に陥りやすい基本的な接続確認も自動化でき、確実な試験が行えます。
③ DCI光ファイバを評価するOTDR(MT1040A/MT1000A、MT9085シリーズ、MT9090A)
OTDR(MT1040A/MT1000A、MT9085シリーズ、MT9090A)を使ってDCI光ファイバの各接続箇所の光反射、接続損失を評価することができます。また、トラブルの要因となる光ファイバコネクタ端面確認用のファイバスコープも使用でき、確実な開通保守作業が行えます。

MT1000Aとファイバスコープ

ファイバスコープ試験結果
MT1040A、MT1000A、MT9090Aはファイバ試験の初心者でも簡単に扱える「Fiber Visualizer」モードを装備、コネクタや融着などのイベントをわかりやすくアイコン表示します。DCI光ファイバの評価を容易に実施できます。

MT1000A Fiber Visualizer画面
今後重要な役割を担うメトロDCの構築・保守においてアンリツのMT1040A、MT1000A、MT9085シリーズ、MT9090A FMTをぜひご検討ください。