MS27102Aは、干渉問題の軽減と、違法無線の識別という両方の目的で設計されたリモートスペクトラムモニタです。MS27102Aは、屋外に設置するために、過酷な環境でも使用可能な全天候型IP-67筐体が使用されています。RF入力は1つですが、オプションで2番目のポートを追加して、2本のアンテナで使用できます。MS27102Aは、ユーザーが指定する周波数の信号を監視および記録する、多機能なプラットフォームです。
この検出部の掃引速度は最大24 GHz/sで、多くの種類の信号をキャプチャできます。これには、周期的な伝送や不定期な伝送に加えて、短い「バースト」信号も含まれます。MS27102AはFFT帯域幅が20 MHzであり、信号を広帯域で高速でキャプチャして、後処理することができます。IQキャプチャは、ブロックモードとストリームの両方で記録できます。「Save On Event」機能も備えているため、ユーザーが設定可能な特定のしきい値に違反した場合のみ、スペクトラム測定値をキャプチャすることもできます。これによって、目的の信号のみがキャプチャおよび記録されるため、メモリ領域の節約になります。
リモートスペクトラムモニタとの通信
さまざまな方法でMS27102Aと通信を行うことができます。その方法は、以下のとおりです。
1. 内蔵Webサーバー
MS27102Aには、Webサーバーが組み込まれています。インターネットブラウザ(ChromeやFireFoxをサポート)を使用することで、ユーザーは世界のどこからでもスペクトラムモニタにログインし、そのすべての機能を制御できます。これには、周波数の設定、RBW/VBWの制御、リファレンスレベルの設定をはじめ、ユーザーが測定に関連するその他の多くの設定が含まれます。同時に、ブラウザのウィンドウで、トレースデータ、スペクトログラム、および他の測定値を表示できます。Webサーバーの主な利点は、オペレーティングシステムのプラットフォームに依存しないことです。ブラウザを表示できる電子デバイスであれば、Webサーバーと連携します。PC/ラップトップ、タブレット、そしてスマートフォンでも、スペクトラムを表示し、リモート機器の設定を調整できます。MS27102Aはギガビットイーサネットにも対応しているため、測定データと制御情報を高速で伝送できます。
2. SCPIプログラミング
ユーザーは、利用可能なSCPIコマンドを使用して、独自のモニタリングプログラムを作成することもできます。各SCPIコマンド、コマンドの説明、およびコマンドの正しい構文を含むユーザーマニュアルが用意されています。また、IQデータ出力には、高精度のGPS信号を使用してタイムスタンプが付けられます。このため、ユーザーは、複数のMS27102Aを配置した場合、TDOA(Time Distance of Arrival)アプリケーションでこのIQデータを使用して、信号発生位置を地理的に推察することができます。IQデータのタイムスタンプの分解能は、正確な信号位置の計算で9ナノ秒未満です。
3. Vision™アプリケーションソフトウェア
MS27102Aのオプションとして、Vision™ソフトウェアも提供されています。Visionはハードウェアと連携して測定データの収集プロセスを自動化して、通信ネットワーク状態やスペクトラムの使用状況に関する情報を提供します。Visionは、干渉信号を監視および探索する2つのコンポーネントで構成されています。
- ビジョンモニタ(オプション400)
- ビジョンロケート(オプション401)
ビジョンモニタは、スペクトラムデータの自動的な記録、検出信号の履歴管理、異常な信号のアラーム機能および電子メールの自動送信、およびスペクトラムモニタリングシステムを管理するための一連のツールの提供を行います。
ビジョンロケートには、干渉信号または違法/無免許信号の発信位置を推測する機能があります。信号位置を正確に探索するには、3台以上のモニタを使用する必要があります。Vision製品の詳細については、アンリツのWebサイトを参照してください。
主な特長
- 9 kHz~6 GHz
- 掃引速度:最大24 GHz/s
- 内蔵Webサーバーにより、Webブラウザ経由で測定を表示、制御。(ChromeとFireFoxをサポート)
*:Google および Google ロゴ、Google Chrome、Google Chrome ロゴ は、Google Inc.の商標、または登録商標です。
*:Firefox(R) は、米国 Mozilla Foundation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
- ファームウエアの更新を遠隔操作で実施可能
- ウォッチドッグタイマにより、リモートに配置されたモニタの長期間の安定性を保証
- 屋外設置用IP67規格
- Linuxオペレーティングシステム
- 低スプリアスで正確な信号検出
- 20 MHz FFT帯域幅
- 低消費電力 < 11 W(入力電圧11~24 VDC)
- 場所と時間の同期アプリケーションで使用するGPS受信機内蔵
- 高速伝送を実現するギガビットイーサネット
- 干渉解析:スペクトログラムと信号強度
- ダイナミックレンジ:> 106 dB(1 Hz BWに正規化)
- 表示平均雑音レベル(DANL):< -150 dBm(1 Hz RBWに正規化、プリアンプON)
- 位相雑音:-99 dBc/Hz @ 10 kHz オフセット (1 GHzにおいて)
- タイムスタンプが付けられるIQブロックモードおよびストリーミング(TDOAアプリケーション用)
- オプションのVisionソフトウェア(スペクトラム測定の自動化、アラームの設定、信号発生源の推定)
MS27102Aのアプリケーション
MS27102Aは、屋外環境用に設計されています。通常、このような計測器は、無線の調査および監視を目的に、永久的または半永久的に配置されます。政府の規制当局は、多くの場合、屋外モニタを使用して周波数政策を実施します。典型的な使用事例では、20 MHzのFFT帯域幅機能を使用して、FM放送帯域全体をキャプチャするような場合です。その後、ユーザーは、違法電波などを調べることができます。この他にも、次の目的で利用できます。
- スペクトラム占有の測定
- 公共施設、空港などにおけるセキュリティ
- RF研究施設におけるスペクトラムの監視
- 違法な送信機の検出
- 鉄道制御用無線システムの監視