アンリツは3モデルのリモートスペクトラムモニタの製品を提供しています。
いずれのモデルも無線信号の干渉問題の軽減、違法、または無許可の無線局の信号探索などの両方の用途を目的として設計されています。
MS27101Aは、高さ1Uのサイズでハーフラックの大きさに収納されており、屋内用途専用に設計されています。
MS27102Aは、IP67規格の屋外設置を目的としたもので、付属の取り付けブラケットを使用して、ポールや壁に取り付けることができます。
MS27103Aは、マルチポート(標準RF入力12ポート、オプションで最大24ポートに拡張可能)のスペクトラムモニタで、セルラ、DAS、その他複数アンテナが必要な用途向けに理想的な製品です。
リモートスペクトラムモニタは、3機種ありますが、いずれの製品も最大24 GHz/秒の速さで掃引できるため、多くの種類の信号を捉えることができます。これらの信号は、周期的、または非周期の信号に加えて、短い「バースト」信号も含まれます。各リモートスペクトラムモニタは瞬間的な信号を捉えるためにFFT帯域幅が20 MHzであり、信号を広帯域で瞬時に捉え解析できます。IQキャプチャは、ブロックモードで記録でき、リモートスペクトラムモニタ内部のメモリや監視するクライアントPCへのダウンロードもできます。「Save On Event」(イベント時に保存)機能も備えており、ユーザが設定した特定のしきい値に違反した場合のみ、スペクトラムを捉えることもできます。これによって、しきい値に違反した目的の信号のみを捉え、記録するため、保存するメモリ領域を節約できます。
リモートスペクトラムモニタとの通信
これらのリモートスペクトラムモニタとの通信には、以下のような様々な方法があります。
リモートスペクトラムモニタには、ウェブサーバを組み込んでおり、インターネットブラウザ(ChromeとFireFoxをサポート)を使用することで、ユーザは世界のどこからでもリモートスペクトラムモニタにログインし、そのすべての機能を制御できます。制御には、周波数、RBW/VBW、基準レベルの設定をはじめ、ユーザがスペクトラム監視の用途に関連するその他の多くの設定が含まれます。また、ブラウザのウィンドウにトレースデータ、スペクトログラムなどを表示できます。 ウェブサーバの利点の1つとして、クライアント側のオペレーティングシステムのプラットフォームに依存しないことがあります。ブラウザを使用できる電子デバイスであれば、ウェブサーバと連携します。デスクトップ/ノートPC、タブレット、あるいはスマートフォンでも、スペクトラムを表示し、リモートスペクトラムモニタ機器の設定を調整できます。リモートスペクトラムモニタは、ギガビットイーサネットにも対応しているため、測定データと制御情報を高速で伝送できます。
ユーザは、利用可能なSCPIコマンドを使用して、独自のモニタリングプログラムを作成することもできます。アンリツは、利用可能なSCPIコマンドのリスト、コマンドの解説、および各コマンドで必要な正しい構文を解説したユーザマニュアルを提供します。また、モニタによるIQデータ出力の個々のペアには、高精度のGPS信号を使用してタイムスタンプが付けられます。これにより、ユーザは、TDOA(Time Distance of Arrival)の用途でIQデータを使用して、目的とする信号の位置を推定することができます。IQデータのタイムスタンプの分解能は、9 n秒未満です。
Vision™ソフトウェア
リモートスペクトラムモニタの全モデルにオプションとして、「Vision™ソフトウェア」を提供しています。Visionソフトウェアは、監視するハードウェアと連携して、測定データの収集プロセスを自動化し、無線環境の状態やスペクトラムに関する有用な情報を提供します。Visionソフトウェアは、干渉信号の「監視」と「探索」を目的とする2つの機能で構成されています。干渉信号の「監視」を目的としたものは「ビジョンモニタ」(オプション400)で、「探索」を目的としたものは「ビジョンロケート」(オプション401)です。ビジョンモニタは、スペクトラムデータの自動的な記録、検索可能なスペクトラム履歴データベースの管理、異常な信号動作のアラーム機能の有効化、およびスペクトラム監視システムを管理するための一連のツールを提供します。ビジョンロケートは、干渉信号、または違法/無認可の無線信号の位置探索の機能があります。信号位置を正確に探索するには、3台以上のモニタを使用する必要があります。ビジョンソフトウェアの詳細については、アンリツのウェブサイトを参照してください。
主な特長
- 9 kHz~6 GHz
- 掃引速度は最大24 GHz/s
- ウェブサーバに統合した機能によりウェブブラウザ経由で測定の実施、表示、制御。ウェブブラウザは、「Google Chrome」、または「Mozilla Firefox」をサポートしています。
*:Google および Google ロゴ、Google Chrome、Google Chrome ロゴ は、Google Inc.の商標、または登録商標です。
*:Firefox(R) は、米国 Mozilla Foundation の米国およびその他の国における商標または登録商標です。
- 遠隔操作によるファームウェアの更新が可能
- 遠隔地に配置したモニタ機器の長期間安定をハードウェア・ウォッチドッグタイマで保証
- 屋内に配置して使用できるハーフラックタイプ
- Linuxオペレーティングシステム
- 低レベルの信号を正確に検出するための内部スプリアス
- 瞬間的な信号を捉えるFFT帯域幅20 MHz
- 低消費電力 < 11ワット(入力電圧11~24 VDC)
- モニタリングの場所と時刻同期の機能を提供するGPSレシーバ
- ギガビットイーサネットによる高速通信
- 妨害波解析:スペクトログラムと信号強度
- ダイナミックレンジ:> 106 dB(RBW 1 Hz換算)
- DANL:< -150 dBm(RBW 1 Hz 換算、プリアンプON)
- 位相雑音: -99 dBc/Hz @ 1 GHz、10 kHzオフセット
- タイムスタンプが付けられるIQブロックモードおよびストリーミング(TDOA)
- オプションのビジョンソフトウェアによるスペクトラムの自動測定、アラーム設定、信号源の位置特定
MS27101Aの用途
MS27101Aは、屋内に配置するラックに搭載して使用する用途として設計されています。
通常、これらの電波調査および監視を目的とする装置は、永久的または半永久的に同じ場所に配置されています。無線周波数の法規制を監督する政府機関などの多くは、屋外に監視するモニタ装置を配備しています。
警察、消防、航空交通管制、鉄道などの緊急サービスを必要とするシステムは、干渉や違法無線など障害の影響を受けず通信を行う必要があります。
この他にも、次の目的で利用できます。
- スペクトラム占有の測定
- 刑務所/拘置所などにおける違法電波の監視
- 国境、公共施設、空港などにおけるセキュリティ
- RF試験など実験室におけるスペクトラム監視
- 無認可または違法な送信機の発見
イーサネットネットワークを使用するリモートスペクトラムモニタへの接続
MS27101Aとの通信は、標準装備のギガビットイーサネットポート経由で行います。IPアドレスの設定は、DHCPを使用してIPアドレスを動的に取得するか、静的IPアドレスを設定するかを選択できます。出荷時のIPアドレスは、静的IPアドレスで「10.0.0.2」が初期値として設定されています。IPタイプの変更は、デスクトップ/ノートPCなど使ってモニタ装置へ接続し、装置に搭載しているウェブサーバのユーザインターフェイスにより容易にできます。
DHCPの使用に備え、ネットワークに対して、接続されているすべてのデバイスに対して、IPアドレスなどを問い合わせる「イーサネットディスカバリプログラム」を提供しています。イーサネットディスカバリプログラムは、アンリツのダウンロードセンターから入手できます。
イーサネット接続の詳細は、アンリツウェブサイトの製品ページ「ライブラリ」タブからダウンロードできる「Remote Spectrum Monitors MS2710xA Configuration Quick Start Guide」を参照してください。