世界初 5G NRプロトコル試験でVoNRのGCF承認を達成
2021/02/05
5G NRスタンドアローンモードでの高速大容量通信実現に貢献
アンリツ株式会社(社長 濱田 宏一)は、5G NR プロトコルコンフォーマンステスト[※1]において当社の5G NR モバイルデバイステストプラットフォーム ME7834NRが、世界初となるVoNR(Voice over New Radio)[※2]試験のGCF[※3]承認を取得したことをお知らせいたします。
この試験は3GPP TS 34.229-5[※4]に基づいており、2021年1月に開催されたGCF CAG[※5]#65ミーティングにおいて承認されました。
5G NRの端末開発は、主に高速大容量のデータ通信サービスを中心に進められています。一方、5Gスタンドアローン(SA)モード[※6]によるネットワーク展開を進めるうえでは、5G NRによる音声、ビデオ通信が不可欠となるため、対応するネットワークやデバイスでのVoNRのサポートとそれに伴う試験実施は極めて重要となります。
5G NRのVoNRおよびIMS(IP Multimedia Subsystem)の適合性テストは、前述の通り3GPP TS 34.229-5で定義され、既に3GPP RAN5ワーキンググループ[※7]でアンリツによって検証されています。今回承認された試験は、次回のPTCRB[※8]ミーティングでも承認を得るべく提出済です。
製品概要
5G NR モバイルデバイステストプラットフォーム ME7834NR
ME7834NRは、5G NRにおけるスタンドアローン(SA)モード/ノンスタンドアローン(NSA)モード[※9]双方で、3GPP TS 38.523[※10]で規定されるプロトコルコンフォーマンス試験、主要な通信事業者受入試験[※11]に対応しています。
また、GCFとPTCRBにおいて、5G NRテストプラットフォームTP251で登録されており、それぞれの端末認証に使用することができます。
5G用に新しく設計したOTAチャンバーとRFコンバーターを組み合わせることで、5Gで使用されるFR1(Sub-6GHz帯)およびFR2(ミリ波帯)を含む周波数帯域をカバーします。
ME7834NRは、LTE、LTE-Advanced(LTE-A)、LTE-A Pro、およびW-CDMAのプロトコルコンフォーマンス試験と事業者受入試験に対応したME7834LAを元に開発しています。
このテストシステムをすでに導入されているお客さまは、実証済みのLTE-A試験環境を活用しながら、スムーズに5G対応システムにアップグレードすることができます。
ME7834NRについてもっと詳しく
用語解説
- [※1] プロトコルコンフォーマンステスト(Protocol Conformance Test; PCT)
- 通信ネットワークでの携帯端末と基地局間の通信手順が、3GPP規格に適合していることを確認するための試験。
- [※2] VoNR
- Voice over New Radioの略。5G NR(New Radio)を使用してIPベースで音声・ビデオ通信を行う技術。5G NRのSAモードにおいて、4G LTEや5G NRのNSAモードでのVoLTEに代わり利用できる。
- [※3] GCF
- Global Certification Forumの略称。携帯端末のグローバルな相互接続性を保証するため、ネットワークでの運用基準や携帯端末の認証試験基準を定めている団体。GCFにより承認された測定システム、測定項目は、そのテスト性能(測定手順、測定確度)が、携帯端末用認証試験で要求される条件に適合するものとして保証される。
- [※4] 3GPP TS 34.229-5
- 3GPPの技術仕様で、5G NRでのSession Initiation Protocol(SIP)およびSession Description Protocol(SDP)に基づくインターネットプロトコル(IP)マルチメディア呼制御プロトコルに関する規格。
- [※5] CAG
- Conformance and Interoperability Agreement Groupの略称。携帯電話端末とネットワークとの相互接続試験の仕様や認証プロセスを決定するGCFに加盟している企業グループ。3ヶ月ごとに会合が開かれ、その場で認証の最終決定がなされる。
- [※6] スタンドアローン(SA)モード
- スタンドアローンモードは、データ送受信、基地局との制御情報のやりとりの双方に5Gを使う方式。
- [※7] 3GPP RAN5ワーキンググループ
- 3GPPの技術仕様をまとめるグループのうち、モバイル端末のコンフォーマンス試験に関するワーキンググループ。
- [※8] PTCRB(PCS Type Certification Review Board)
- PTCRBは、PCS Type Certification Review Boardの略。GCF同様、携帯端末のグローバルな相互接続性を保証するため、ネットワークでの運用基準や携帯端末の認証試験の基準を定めている団体。北米で運用されている周波数帯を対象としている。
- [※9] ノンスタンドアローン(NSA)モード
- ノンスタンドアローンモードは、4Gと5Gを合わせて使う方式。主に基地局との制御情報のやりとりは4G、データ送受信に4Gと5Gの両方を使う。
- [※10] 3GPP TS38.523
- 3GPPの技術仕様で、5Gデバイスのプロトコルコンフォーマンス試験に関する規格。
- [※11] 事業者受入試験(Carrier Acceptance Test; CAT)
- モバイルネットワーク事業者(キャリア)が自社ネットワークで接続する端末を受け入れる際に、3GPP規格に基づき制定されたキャリア独自の要件や仕様を満たしているかを確認するための試験。